Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
一
IIH
「紅に悲しい顔をさせるなんて僕は許さないよ。
それが僕自身のせいだとしてもね!
ハハハハここは僕に任せなさーい」
碧が白い歯を光らせ笑う。それを見て、涼介が数回瞬いた。
「……なんだろう? 碧さんってこんな人だったっけ……?」
みのりは今更な発言をしてくる青年へ胡乱な眼差しを送る。
「紅が絡む碧はいつもあんな感じよ」
もしかしたら側近の見る目も変わったかもしれない。
だが、そんなことよりも今は車の確保が先決だ。
みのりは惜しみつつ、涼介から視線を外した。
「それで碧? どうやって車を調達するの?」
紅からの願い事に叶えられないなどと言う男ではない。それでも
今は家出中で、なおかつ追われている身だ。万が一の場合もある。
だがそれはこちらの杞憂だったようだ。みのりが確認のために問うと、
碧がうっすらと笑みを作った。
「この方にお願いしようと思っています。
あ、もしもし飛田さんですか? 先ほどはありがとうございました。
梅田碧です」
スマートフォン越しから聞こえてくる飛田の声に、
みのりは安堵の息をついた。
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