Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
一
B
あんな悲しい顔はこれ以上見たくない。
同じ気持ちの碧ならばわかってくれるだろう。
期待を込めて見つめるも、碧の返事は予想に反して冷やかだった。
「ほう、君のお兄さんと獣人の長がですか。やはり君のお兄さんは
食えない男ですね」
碧の感想に、涼介は内心で目を瞠る。
(あれ? なんか警戒されてないか? 俺)
みのりに横恋慕しているのがばれたのだろうか。
とっさに思い浮かび、慌てて首を左右に振る。
(いやいや、さすがにそれはないだろう)
例えバレているのだとしても、そんな小さなことを気にする人ではない。
ということは、彼が警戒しているのはもっと別の、端的に言ってしまえば、
敵か味方か、という点であることは明白だった。
(碧さんに誤解されるのだけは嫌だ)
みのりを守りたい気持ちは同じなのだ。
涼介は思いを理解してもらおうと、碧に応じる。
「はあ。食えない人なのは同意します。ですが、その、
俺には兄や高松さんがなぜ黄金梅にこだわるのかまったく想像がつかなくて、
何かみのりさんとは別に、深い因縁でもあるのかな、って」
正直に考えを告げると、碧が顎に手をあてた。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|