Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





CEIH




(きき、キスってことは、涼介の唇が私の唇にくっつくのよね……)


 興奮しすぎて倒れそう。目の前もグルグルしてきた。

それになんだか息もしづらい気がする。

 みのりが半ばパニックに陥っていると、涼介が悲しげに眉を下げた。


「そんなあからさまに引かなくても……。

まあ、いいや。とにかく、君の気持ちの整理がつくまでずっと

待ってるからさ、俺。まずは黄金梅のほうをなんとかしないと」

「違うの。驚いたっていうか、なんていうか。そのわかるでしょう」


 彼を悲しませるつもりなんてなかった。

みのりは口元を押さえていた手を外し、身振り手振りを加えて

分かってもらおうとする。しかし、やはり彼はこちらの機微を

察してはくれないらしい。


「わかるって、何が?」


 きょとんと顔をかしげる涼介に、みのりは羞恥心から

八つ当たりする。


「だからー、もう! なんでわからないのよ!

デリカシーのない男ね!」

「いや、なんでそこでいきなりキレられなくちゃなんないんだよ!

あーもう、君ってやつは!」


 ふいに大きな声を出され、みのりはびくっと肩を竦ませた。

もしかして嫌われてしまったのだろうか。

ふわふわと舞い上がっていた心が一気に落下していった。










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