Gold Plum

第六章


対峙


〜善郎＆太一の場合〜


四


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「お一人で平気ですか？」


　墨吉神社の鳥居前車を降りると、車内から飛田が問いかけてきた。


（この分だとついてくるとか言いかねんな……）


　一人になって考えたいというのに。善郎は吐息して、

飛田へ手を振ってみせる。


「子供じゃねえんだ。大丈夫だからさっさと帰れ！」

「あ、はい。じゃあ、失礼します」

「待った！」


　挨拶をして、半分ほど開いていた窓を閉めようとする飛田を、

善郎は慌てて止めた。


「はい、なんでしょう？」


　運転席から良く通る声で問いかけてくる飛田を前に、

善郎は視線を上向かせつつ言葉を紡ぐ。


「……色々と、悪かったな……」


　どうにも素直になりきれずぶっきらぼうに礼を述べると、

飛田がくすりと笑った。


「いいえ。気にしないでください。じゃあ」

「ああ」


　小さく手をあげ別れの挨拶を済ませると、

飛田は車をすぐに発車させた。

こちらが一人になりたいのを察してくれたのだろう。


（本当に、いいヤツではあるんだが……）


　善郎は吐息して、墨吉神社の階段をあがる。

慣れた石段をテンポ良く上りきり、手水で手を清める。

ポケットに入れていた小銭を入れ念入りに手を合わせていると、

境内の奥から聞き覚えのある笑い声が聞こえてきた。


「リオ待ってよー」


　あの声は、太一か。

昨日自分が逃げ出してしまったあと、彼はどうしたのだろう。

きちんと家へ帰れたのだろうか。

急に罪悪感と心配で胸が締めつけられ、善郎は境内の奥へ向かう。


「そこにいるのは坊主か？」


　奥の林に向かいためらいがちに声をかけると、明るい声が聞こえてきた。