Gold Plum

第六章


対峙


〜善郎＆太一の場合〜


四


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「リオー！」


　太一は木の上にいるはずの友人の名前を呼びかける。


　里夫と連絡先を交換してから遊ぶのは今日が初めてだった。

前回、黄金梅の種を実らせる手伝いをしてもらったときにした

木登りがあまりにお粗末だったのだろう。特訓をし直してやる、と

意気込んだ彼にここまで連れてこられたのだ。

善郎が現れたのは、ちょうど木を登ろうと幹へ手をかけたときだった。

しかし、お手本を見せると言って先に登っていったはずの里夫からの

返事がこない。太一は訝しく思い、首をかしげた。


「リオ？　リオってば聞こえないの？」


　驚かそうとしているのだろうか。それなら先手必勝だ。

太一は幹に振動を与え、木を揺らす。


「うわぁ、バカ！　太一、危ないだろー！」


　葉が生い茂る木々の上部から里夫の悲鳴が降ってきた。

太一は友からの暴言にムッとしながらも正当性を訴える。


「バカじゃないよ！　リオが無視するからいけないんだろー」

「リオってぇのか。おい、坊主。早く降りてこっちに来い！」


　なかなか降りてこない友人に、善郎の短めの堪忍袋の緒が

切れたようだ。腰に手をあて、野太い声を張り上げた。