Gold Plum

第六章


対峙


〜善郎＆太一の場合〜


四


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「う……。そ、それはなあ……」


　太一の無邪気な言葉がぐさりと胸に刺さり、

善郎は語尾を濁す。

どうしたものかと答えあぐねていると、

リオと呼ばれた獣人の子供が素っ頓狂な声をあげた。


「は？！　ど、どういうことだよ！　どうすればいい？

オレ食われちまうのか？」


　オロオロとした声音は本当にこちらを恐れているようで。

誤解されてはたまらないと善郎は急いで否定する。


「食うわけないだろう！　失礼な坊主だな！」


　言うだけ言ってしまってから、子供相手に

ムキになっている自分に気づく。


（しまった！　またやっちまった！）


　さっきもみのりや涼介たちを相手に大人げない振る舞いを

してしまい、帰り際散々反省したのだ。

だと言うのに……。


（俺ってやつは本当にいつまで経ってもダメな奴だよ）


　妻の和子や娘の芽衣子が知ったらなんと言うだろうか。

芽衣子の怒鳴り声を想像して首を竦める。


（落ち着け、俺）


　小さく呼吸して、咳払いとともにリオを見あげた。