Gold Plum

第六章


対峙


〜善郎＆太一の場合〜


四


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「なんだ虫でもいたのか？」


　太一が里夫と顔を見合わせていると、善郎が立ち上がる。


「もういい。とにかく、だ！　あんまり遅くなるのは良くないって

ことだ。そんなわけだから、坊主たち。俺についてこい。家まで

送ってやるから」


　言うやいなや、善郎がくるりと踵を返し歩き出してしまった。

太一は、慌てて彼のあとを追う。


「え？　お、おじちゃん？　どこに行くの？」

「おい、太一待てよ！」


　小走りで善郎の隣に立つと、里夫もその横に並ぶ。

善郎が親指を立て自身を指差した。


「俺ん家だ」

「おじちゃんち？　わーい！　リオ、おじちゃんに行くんだって」

「は？　っておっさんオレも一緒でいいのかよ？

オレは獣人だぞ？」


　太一が万歳で喜びを表現していると、里夫が回り込み善郎の足を

止めようとした。だが、善郎は速度を落とさぬまま友人の脇を

すり抜ける。


「構わん。邦夫さんのお孫さんは特別だ」

「リオよかったねー」


　太一はぽかんと口を開けたまま呆ける里夫の肩を叩いた。


「あ、ああ」


　里夫がぼんやりとした返答をする。その間にも善郎はずんずんと

先へ進む。

太一は、友人の背中を押しながら彼のあとをついて行った。