Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
一
IIIA
「よろしいんですか? ありがとうございます。
でしたらわかりやすい場所まで降りて待っていますね。ええ、はい。
よろしくお願いします。失礼します」
涼介がちらちらと紅へ視線を向けながら、スマートフォンをしまう
碧へ話しかける。
「どうでした、碧さん?」
「ええ。飛田さんが迎えに来てくれるそうです。ここは少し見通しが
悪いので、少し下へ降りましょう」
「わかりました。さあ、行こう。みのりさん」
「お嬢さま、行こ?」
碧の言葉に涼介と紅が同時に手を差し出してきた。
涼介は優しすぎる。
みのりは涼介と紅の顔を交互に見たあと、小さな紅の手を取った。
(いくら私が本家の人間だからってそこまでしなくてもいいのに。
でもありがとう)
みのりは、頬を掻く涼介に心の中で感謝しながら歩き出す。
「涼介君、僕たちも行きましょうか」
「あ、はい。そうですね」
(紅が手を出してこなかったらどうしてたかな?)
素直に涼介の手を取っていただろうか。
みのりは後ろからついてくる碧と涼介の声を聴きながら、
そんな『もしも』を考えていた。
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