Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





IIIA




「よろしいんですか? ありがとうございます。

でしたらわかりやすい場所まで降りて待っていますね。ええ、はい。

よろしくお願いします。失礼します」


 涼介がちらちらと紅へ視線を向けながら、スマートフォンをしまう

碧へ話しかける。


「どうでした、碧さん?」

「ええ。飛田さんが迎えに来てくれるそうです。ここは少し見通しが

悪いので、少し下へ降りましょう」

「わかりました。さあ、行こう。みのりさん」

「お嬢さま、行こ?」


 碧の言葉に涼介と紅が同時に手を差し出してきた。

涼介は優しすぎる。

みのりは涼介と紅の顔を交互に見たあと、小さな紅の手を取った。


(いくら私が本家の人間だからってそこまでしなくてもいいのに。

でもありがとう)


 みのりは、頬を掻く涼介に心の中で感謝しながら歩き出す。


「涼介君、僕たちも行きましょうか」

「あ、はい。そうですね」

(紅が手を出してこなかったらどうしてたかな?)


 素直に涼介の手を取っていただろうか。

みのりは後ろからついてくる碧と涼介の声を聴きながら、

そんな『もしも』を考えていた。










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