Gold Plum

第六章


対峙


〜善郎＆太一の場合〜


四


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「リオが言ってることもおじちゃんが言ってることもわかんない！」


　太一は、感心するように深く頷く善郎に頬を膨らませた。

善郎は運転しながら器用に肩を竦め、苦笑する。


「つまり、獣人も怖い奴らだってことだ。

俺たちはそう言われて育ってきたんだ。わかるな、坊主？」


　今度は分かりやすく言いかえてきた。どうやら言葉の意味が

わからないと思われたようだ。自分だってそこまでバカではない。

彼らの会話の意味は理解している。

ただ感情面で理解できなかっただけだ。違う。

理解したくなかったといった方が正しいだろう。

　リオたちの言い分に同意すれば、彼らの考えが正しいと

認めたことになってしまう。


（そんなことしたら獣人とは仲良くなれないって言っている

ようなものじゃないか……）


　脳裏に獣人を嫌っている祖母の顔が浮かんだ。

太一は雑念を振り払うように頭を振った。そして再度善郎へ

自分の気持ちをぶつける。


「わからないよ！

ぼくだって同じように教わってきたけど、リオのこと大好きだもん」

「恥ずかしいやつだな……」


　拳を握り言い切る自分の横で、里夫が照れくさそうに頬を

かいていた。