Gold Plum

第六章


対峙


〜善郎＆太一の場合〜


四


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　太一の言葉に善郎は首を横に振る。


「なら尚更だ！　近づきすぎたからお互いの犠牲がでかくなっちまった。

もっとお互いが気持ちのいい距離でいられるようにしなくちゃならん。

そうでないと、坊主、お前のばぁさんのように悲しむ人が増えちまうんだ」


　少年の言い分はよくわかる。

だが、それではお互いの恐怖を拭うことはできないのだ。


（せめて獣人に超人的な力さえなければな……）


　おそらく獣人の力は強い。

人に変化できるというだけでも十分すぎる能力だというのに、

知力、体力面でも優れているとなると、離れて暮らす以外、

対等に生きていけるはずはない。


「そんな……ぼくみたいな考えはダメなの？

でもお兄ちゃんだってみのり様だって、

それにおばちゃんもお姉さんだってそんなこと言わなかったよ」

「あの兄ちゃんなら言いそうだな」


　太一が涙声で尋ねるのと、里夫が感想を述べるのはほぼ同時だった。


（兄ちゃんって、梅畑の坊ちゃんのことか？）


　まあそれ以外ないだろうが。

みのりや涼介の顔を思い浮かべ、善郎は臍を噛む。

彼らから言われた言葉たちが思い浮かんでは消えていき、

善郎は片手で頬を叩いた。