Gold Plum

第六章


対峙


〜善郎＆太一の場合〜


四


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「おっさん。じいちゃんを頼りにしてるんだ。へぇ。

あ、そういえばじいちゃんにも昔、人間の友達がいたらしいんだぜ」


　なんでもないことのようにぶっちゃける里夫に、善郎は目を点にする。


「そ、そうなのか？！」


　そんなこと邦夫さんは一言も言わなかった。

自分が獣人に対していい思いを抱いていないことを、

察していたからなのだろうか。


（まあ、こんな俺じゃあ、信用してもらえないのも無理はないが）


　矛盾しているとは思いつつも、少しの寂しさを感じる。

やはり獣人と人間、互いを理解し合うのは難しいことなのかもしれない。

そんなことを逡巡しているうちにも、里夫の話は続く。


「ああ、だからオレ、人間たちの居住区へ行ってみたくなったんだよ。

んでそこでお前と友達になったんだ」


　太一を見て嬉しそうに微笑む里夫を見ていると、

ささくれだった心が和んだ


「そうか……。人間のご友人がいらしたのか……」


　誰にともなく呟いていると、太一もへー、と声をあげる。


「そうだったんだ。

それじゃリオと友達になれたのはリオのお祖父ちゃんのおかげなんだね」


　微笑み返す太一に里夫が首を縦に振る。


「おっさんもその辺のことをじいちゃんに聞いてみたらいいんじゃねーかな」


　提案され、善郎はほぼ自動的に応対する。


「お、おう！　そ、そうだな！」


　そんなに上手く話を進めていける自信はないのだが。

頬を掻きながら、一路邦夫の家へ向け山道を走り続けた。