Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
一
IIIB
境内から道路へ出て飛田到着を待つ。
向かいに並ぶ木々が風に揺れ、涼介は身を震わせた。
山の空気がさらに冷たさを増しているようだ。
周囲は電灯の明かりに照らされそこそこ明るいが、
それでも夜が着実に更けていっているのがわかる。
(早いところここから出ないとなあ)
自分の家のごたごたでみのりが風邪をひいてしまうのでは、
と思うと気が気ではない。
溜め息をついていると、遠くから車のライトが見えてきた。
(あー来てくれたかな?)
昼間と同じ形のような気がするが、よくわからない。
首を伸ばしてライトを追っていると、
予想通り見慣れた自動車が自分たちの前で停止した。
「みなさん、お待たせしましたー」
飛田が顔を出す。その声は明るい。
(どれだけ面倒見がいいんだろう)
少しも迷惑そうな顔を見せない飛田に、涼介は感嘆した。
「飛田さん、突然お呼び立てしてしまって申し訳ありませんでした」
碧が一礼すると、みのりが飛田の前へ近づく。
「急なお願いを聞いていただき、ありがとうございます」
「すみません。無理をお願いしてしまって……」
みのりとともに感謝の意を告げると、飛田が手を左右に振った。
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