Gold Plum

第六章


対峙


〜善郎＆太一の場合〜


四


�I�I�I�B

「朝からちょっとごたごたしててな。

用意はしてもらったんだが、食べる気がしなくて断ったんだ」


　ごたごたの内容は省きながら事実を告げると、

太一が眉根を寄せる。


「そうだったんだ。でもぼくも朝起きたばっかりだとご飯が食べられなくて

よくママに怒られちゃうんだー」


　叱られた時のことを思いだしたのだろうか。

しょぼくれた様子の太一へ対し、善郎は深々と首肯してみせた。


「そうだな。けど、やっぱり朝はちゃんと食べなくちゃダメだなぁ」


　自戒を込めて応じていると、邦夫も首を縦に振る。


「んだんだ。山波さんの言う通りだべ。

……それはそうと、山波さん。わしに話ってなんだべか？」


　一気に話が本題に移り、善郎は最近さらに薄くなった気がする頭を叩いた。


「そうでした！　……実は獣人と人間の共存についてなのです。

私は長いこと『獣人とは仲良くなれても互いにしっかりと棲み分けをすべき』

と考えておりました。

しかし、先ほどみのり様や梅畑の坊ちゃんに『それは間違いだ！』と

こっぴどく言われてしまいまして……。

私は私なりに皆のことを思って言っているつもりだったのですが……。

もうどうしたらいいのか……」


　碌に息継ぎもせず話しきり口を閉ざす。

　怒らせてしまうだろうか。冷や冷やしながら返答を待つ。

黙っている邦夫の表情を窺うと、

彼の面は思ったよりも渋いものにはなってはおらず、

善郎は内心で胸を撫でおろした。