Gold Plum

第六章


対峙


〜善郎＆太一の場合〜


四


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「それって嫌ってるってことじゃないの？

だって好きなら距離を取る必要ないよね？」


　太一の発言はどこまでいっても無邪気かつ正論でもあり……。

善郎はがっくりと肩を落とした。


「好きだからこそ、距離を取らなくちゃならん時もあるんだぞ」


　言い訳がましいとは思いつつ説教くさい言葉を吐くと、

邦夫が意外にもうなずいてきた。


「山波さんの言う通りだんべ。

太一君、いくら好きでもずっーっとそばに引っ付かれたらうっとうしいべ？」


　邦夫の言葉に、太一が虚を突かれたような顔になる。


「う、うん」


　ためらいがちに頷く太一へ、邦夫が言葉を重ねた。


「山波さんはそういうことを言いたかったんだべ。ですが山波さん」


　言葉を切られ視線を向けられる。

一体何を言われるのだろう。

相当厳しいことを言われるであろうことは想像に堅く、

善郎は知らず胃の辺りの服を掴む。


（せっかく初代様のことを話す機会に恵まれたのになあ……）


　出入禁止になるだろうことを覚悟して改めて姿勢を正していると、

深く吐息した邦夫が今一度じっと瞳を見据えてきた。