Gold Plum

第六章


対峙


〜善郎＆太一の場合〜


四


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「いいえ。なかなかなれるものではありませんからな」


　善郎が感心しながら首を横へ振った。

太一は、お茶をすする面々を眺めながら、そういえば、と話を戻す。


「大ちゃんさんも消防隊の人だったの？」


　たしか消防隊は人間と獣人の混成隊だったはずだ。

仕事仲間だったのなら人間の友人がいても不思議ではない。

太一はそう予想を立てた。だが、邦夫はあっさりと否定してくる。


「いんや、大ちゃんとは救急搬送した病院で知り合ったんだべ」

「そうだったんですか！」


　善郎が頓狂な声を出した。太一は疑問符を頭に浮かべる。


（病院で会ったってどういうこと？）


　こちらの困惑が伝わったのだろう。

邦夫が目尻を下げ、話を続けた。


「大ちゃんはそこで医者をしていたんだべ。それからちょくちょく

顔を合わせていくうちに気付いたら友人になっていたんだべ」

（そっか、病院には患者さん以外もいるもんね）


　太一が納得すると同時に、善郎も得心したとばかりに頷く。


「お医者さんだったんですか……」

「そうだんべ」


　当時を思い返しているのだろうか。

邦夫が柔らかな笑みを向けてきた。