Gold Plum

第六章


対峙


〜善郎＆太一の場合〜


四


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「大ちゃんさんはなんでそんなところにいたの？」


　太一の声は今にも泣きそうだ。

辛い話になるときちんと理解しているのだろう。


（賢い子だ）


　そして優しい。

気の毒に想いながらも善郎は持論を語る。


「そりゃ、お医者ならいるだろうさ。急患がいるだろうからな」


　すると邦夫が言葉を継いできた。


「大ちゃんはお医者さんだんべ。

ケガをしている人がいるかもしれないと駆けつけたんだんべ」


　医者の鏡のような人間だ。

そんな人間を１人亡くしてしまったのかと思うと口惜しさが増す。


「じいちゃんの友達はすごい人だったんだな」

「まったくだ」


　リオの言葉に深く同意していると、邦夫も頷いた。


「んだ。大ちゃんは勇敢で優しい人間だったべ」


　しみじみと告げられ、胸を突かれる。


「人間……」


　自然と口をついてでた言葉が重い。

自分はその大ちゃんという医者のように生きられない。

いや、みのりたちは生きられると言うが、とてもできるとは思えなかった。