Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





IIID




「わかったわ。碧」


 先に返答したのはみのりだった。

涼介は彼女に次いで碧の意向に従う。


「はい。じゃあ、みのりさん先に乗りなよ」


 提案すると、みのりがきょとんと見つめてくる。


「え? いいの? ありがとう。それじゃあ、先に乗るわね」

「うん」


 みのりが瞬間戸惑ったような様子を見せた後、

素直に奥へ乗り込んでいく。


(俺、そんなにらしくないことしたのかな?)


 いつも彼女を優先しているつもりだが。


(もしかして、碧さんの隣がよかった、とかかな?)


 そこまでは頭が回らなかった。

 片思いの辛さはわかる。

 できるなら少しくらい傍にいさせてあげたいが、今は時が時である。


(それに……)


 正直言って、チャンス、だとも思っている。

ほんのちょっとだけでもみのりの隣にいられるなら、

その機会を逃したくない。

涼介は内心で首肯し、みのりの隣へ乗り込もうと一歩踏み出す。

瞬間、横から強い衝撃が走り、よろめいた。










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