Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
一
IIID
「わかったわ。碧」
先に返答したのはみのりだった。
涼介は彼女に次いで碧の意向に従う。
「はい。じゃあ、みのりさん先に乗りなよ」
提案すると、みのりがきょとんと見つめてくる。
「え? いいの? ありがとう。それじゃあ、先に乗るわね」
「うん」
みのりが瞬間戸惑ったような様子を見せた後、
素直に奥へ乗り込んでいく。
(俺、そんなにらしくないことしたのかな?)
いつも彼女を優先しているつもりだが。
(もしかして、碧さんの隣がよかった、とかかな?)
そこまでは頭が回らなかった。
片思いの辛さはわかる。
できるなら少しくらい傍にいさせてあげたいが、今は時が時である。
(それに……)
正直言って、チャンス、だとも思っている。
ほんのちょっとだけでもみのりの隣にいられるなら、
その機会を逃したくない。
涼介は内心で首肯し、みのりの隣へ乗り込もうと一歩踏み出す。
瞬間、横から強い衝撃が走り、よろめいた。
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