Gold Plum

第六章


対峙


〜善郎＆太一の場合〜


四


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「お、俺はそんな出来た人間じゃ……」

「おっさんが優しいのはそうだとオレも思うけど、

じいちゃんおっさんの質問に答えてなくねー？」


　里夫が腑に落ちないといわんばかりに割り込んできた。

それでも善郎の優しさを素直に認めていることに太一は

内心でほくそ笑んだ。


「さっきのが答えだんべ。わかんねーべか」


　邦夫が困り顔でいがぐり頭をなでた。

里夫は、邦夫の言葉を振り返っているのかもしれない。腕を組み

眉間に皺を寄せる。だが里夫が結果を出すよりも前に、善郎が

顔をあげた。


「……いいえ。わかった……と思います。

『人は変われる』。本当に邦夫さんたちの関係がおっしゃている

通りなのでしたら、俺も変われるということなんでしょう。

……自信はありませんが……」


　最後まで言い切ると善郎は、自分たちの視線から逃れるように顔を

下へ向けた。


（おじちゃん）


　善郎の背中を押すような言葉をかけたい。太一はそう思った。

だが同時に、自分のような子供が何を言っても彼の胸には響かない

気もした。それにたとえ言えたとしても善郎のことだ。

『ちみっちゃいガキが何ナマ抜かしてやがる』と、神社で里夫に

向けたセリフを言われるに違いない。

太一はもどかしさに頭を掻き毟りたくなった。