Gold Plum

第六章


対峙


〜善郎＆太一の場合〜


四


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「満兄ちゃん！」


　なんの前触れもなく入ってきた若者に対し、リオが立ち上り叫ぶ。

善郎も若者の姿を見た途端目を剥いた。


「狼野郎！」


　ちゃぶ台を叩いて立ち上がると、若者、満といったか、

彼が精気のない視線を向けてきた。


「あ？」


　間の抜けた声で応じる満にリオがうろたえる。


「ど、どうしたんだよ」


　やはりいつもの彼とは違うのだろう。リオの声は上擦っていた。


「なんか、いつもと違わないか？　お前」


　返答を期待せず問いかけると、反対側から声がした。


「なんだか元気がないみたいだね？」

「ああ。本当になぁ」


　尋ねてくる太一に善郎は深く頷く。

本当にこれがあの狼の青年だろうか。

心なしか立っていたはずの髪の毛もしなだれて見える。


「ちょっとな。てか、なんで人間がまたこんなところにいんだよ」


　いきなり睨んでくる眼光はあいかわらず鋭く、返答に困って息を呑む。

すると、邦夫がのんびりとした調子で満をいなした。