Gold Plum

第六章


対峙


〜善郎＆太一の場合〜


四


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「そうなんですか。それは悪いこと言ったな。すまん」


　驚きと同時に申し訳ない気持ちがあふれてきて自然頭をさげると、

邦夫がかぶりを振った。


「山波さんが謝ることはないだべ。

満がここに来るときはいつもこんな感じなんだべ」

「は、はあ……」


　こんな感じということは、邦夫をよほど信頼しているということか。


（確かに邦夫さんには相談しやすいからなあ）


かくいう自分もそういう意図でここまでやってきたようなものだ。

満も何かしら悩みがある時にやってくるのだろう。


（まあ、どうせ人間が邪魔だとかそういうことなんだろうが……）


　こういう若者の気持ちを変えなければならないとなると、

かなりしんどいことになるのではないだろうか。


（俺にそんなことが可能なのか？）


　暴力はやめろ。

人間と獣人は協力し合うべきだ。

などと、自分の気持ちも他人に説得されて少し変わったくらいなのに。

こんな勢いのある若者に対して、偉そうに何かを言える立場ではない。


（俺、本当に変われるのか？）


　むくむくと頭へもたげてくる不安と戦っていると、

邦夫が溜め息を吐いた。