Gold Plum

第六章


対峙


〜善郎＆太一の場合〜


四


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「どうせまた灰人（かいと）のところに行って愚痴ってきたんだべ？」


　邦夫が訳知り顔で満を見た。

人の名前だろうか。太一は首をかしげる。


「灰人？」


　善郎なら知っているだろうか。太一は善郎を窺い見た。

だが彼もわからないようだ。困惑気に眉を下げている。

そしておずおずと手をあげた。


「……その……すみません、灰人さんというのは……？」


　申しわけなさそうに割り込む善郎とは裏腹に邦夫が

あっ気らかんと言い放つ。


「灰人っていうのは満の親友だんべ」

「親友！　どんな子にも一人はいるもんなんですなあ……」


　感心するように頷く善郎へ満が三白眼を向けた。


「あ、いや。他意はないぞ。うん」


　満の鋭い視線に気づいたのだろう。

善郎が幾分居心地悪そうに青年から顔を逸らした。


「ケッ」


　満が面白くなさそうにお茶を飲む。

太一は気づかれないように、そっと青年を観察する。


（ちょっと怖そうだけど、本当は良い人なのかな？）


　太一はそう予測を立てた。

なぜなら、満が現れた時に里夫がとても嬉しそうな顔をしたからだ。

悪い人だったら、立ち上がってまで迎い入れることはしないだろう。

太一が思案していると、善郎が邦夫に話しかけていた。