Gold Plum

第六章


対峙


〜善郎＆太一の場合〜


四


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「灰人に好きな娘のことを報告したんだべか？」


　邦夫が特に気にした様子もなくごく自然に満へ尋ねる。


「ち、違う！　俺にす、好きなやつなんていねーよ！」

「お前、それいるって言ってるようなもんだぞ」


　顔を真っ赤にして手を横に振る満を見て、善郎は茶々を入れた。


「そ、そんなわけねーだろう！

だいたい麻里は人間なんだ。俺が人間を好きになるなんてことはねー！」


　叫ぶ満に善郎は目を剥いた。


「人間！？」

「人間！」


　リオとほぼ異口同音に声を裏返らせるその横で、

太一がのんびりと首を傾けた。


「麻里？　麻里ってぼくの知ってるお姉さんのことかな？」

「あのドジっ娘先生か？　まさか！」


　ヒールで敵相手に突っ込んでいく小柄な女性の姿を思いだし、

即座に否定する。

だが、太一はまだ考え込んでいるようだ。


（ま、まさか！）


　それではごく身近に異種族カップルが、

どんどんどん誕生しまくっているということになるではないか。


（それじゃあ悩んでた俺がバカみたいだろう）


　頬を掻いていると、邦夫が額をぺしりと叩いた。