Gold Plum

第六章


対峙


〜善郎＆太一の場合〜


四


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　大人たちの応酬に太一は息を呑む。

ドンッというテーブルを叩く音に肩を竦ませた。


「人間たちが周囲の確認を怠ったせいで灰人は……」


　テーブルへ置かれた満の拳が小さく震えている。

太一はそれを見て祖母を思い出した。


（このお兄さんはばぁちゃんと同じなのかも……）


　獣人のことを話題にしたときの祖母の瞳も

彼のような深い悲しみを秘めていた。

太一は声をかけることができず、唇を噛んだ。


「人間たちのせいだけでもないべ、

子供に危険を教えなかったわしら大人の責任だべ」


　静まり返った部屋に邦夫の声が響き、太一は目線をあげた。

すると彼の言葉に背中を押されたのか、善郎が満に頭を下げる。


「それはすまないことをした。

……だがな、俺もお前と同じだったから言うが。

そんなこと言ってばかりいても何も解決せんぞ」

「俺はおっさんとは違う！　それに俺は灰人と約束したんだ。

人間たちから黄金梅を奪って、獣人たちを守るって！」


　諭すように優しく語りかける善郎へ満が間髪入れずに反論した。

そして善郎を睨みつけたまま青年は言葉を紡ぐ。

それは自身に言い聞かせているかのような独白に太一には聞こえた。