Gold Plum

第六章


対峙


〜善郎＆太一の場合〜


四


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「太一はばあちゃんに花を見せるために黄金梅を咲かそうと

してるのか？」


　太一が里夫の質問に応じる前に善郎が首を縦に振る。


「そうだぞ。ここにいる太一君のお祖母さまもな、不幸な事故で

亡くした旦那さんの件で獣人を恨んでいる。

だが、太一君の行動を認めてくれるようになった。

人は変われるんだぞ」


　どこか自慢げに語る善郎に太一はまばたきした。


「どういうことだよ」

「どういうことも何もそういうことだ」


　身を乗り出すように問い返す満に、善郎が腕を組みフンッと

鼻を鳴らした。理由になっていない善郎の返答をフォローする

かのように邦夫が口を開く。


「わしに人間の友人がいることは知ってるべ」

「ああ」

「わしは大ちゃんのおかげで生き延びたんだべ、

だがそのせいで大ちゃんは命を落とした。

ちなみにそれが太一君のお祖父さんだ」

「な、……」


　満が邦夫を凝視したまま動かなくなった。

太一は追い打ちをかけるように満を畳みかける。


「ばぁちゃんから獣人に近づくなって教えられてきたけど、

ぼくはリオと友達になったんだよ。

だからお兄さんだってお姉さんと恋人になれると思うんだ」

「そうだぜ、満兄ちゃん。人間は怖いやつらばかりじゃないぜ。

優しい人間だってたくさんいるんだぜ」


　里夫が満の肩に手を置き、説得する。

太一は友の援護射撃に感謝の意を込めて笑みを向けた。