Gold Plum

第六章


対峙


〜善郎＆太一の場合〜


四


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　照れているのだろうか。

瞳をキョロキョロ動かす善郎を太一はニヤニヤしながら見つめた。


（今度鹿のお兄ちゃんに会ったら教えてあげようっと）


　優しそうな獣人だったからきっと喜んでくれるに違いない。

目尻を下げ笑う飛田の顔を思い出す。

横から里夫の威勢のいい声が聞こえてきた。


「このおっさんがこんなふうに変われるんだから

満兄ちゃんだって大丈夫だよ！」

「ま、まあ、そういうことだ！　ふんっ！」


　里夫の言葉に善郎が胸を反らし、鼻を鳴らした。

ほんの少し前の彼だったら里夫の言葉を認めなかったはずだ。

それが今は否定しないでいる。

邦夫が相談に乗ってくれたことが良かったのだろう。


（リオのお祖父ちゃんがいてくれて本当良かった）


　これで涼介たちに良いニュースを知らせることができる。

太一がホクホクしていると、満が身じろいだ。


「……変われる、か」


　満は膝を立て、その上に肘をつくようにして俯く。

顔を見られたくないのかもしれない。

誰に言うでもなく呟かれた声は力の抜けた優しいものだった。