Gold Plum

第六章


対峙


〜善郎＆太一の場合〜


四


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「はい、必ず」


　善郎も邦夫の手に左手を添えて握り返した。

そして里夫へ顔を向ける。


「リオ君もありがとうな。お茶うまかったぞ」


　善郎の声に一緒に回っていた身体を止めた。

はしゃぎすぎてフラフラになっている自分とは違い、

里夫は何事もなかったかのように言葉を返す。


「おう。おっさんもありがとうな」

「ああ」


　里夫の礼に善郎が照れくさそうに手をあげた。

和やかな雰囲気が漂う。

おもむろに善郎が未だに座ったままでいる満をねめつける。


「おい、狼の若造。お前ももう一回よく考えてみるんだな。

考えりゃ答えが見つかるもんだ」

「ケッ。おっさんに言われるまでもねーよ。

けどまあ、礼は言ってやる」


　つっけんどんな態度だが、満の頬は微かに赤く染まっていた。

善郎もそれに気づいたのかもしれない。肩を竦め、眉を下げる。


「素直じゃねえなあ」

「なんだかおじちゃんとお兄さんって似てるね」


　ふふふ、と小さく太一が笑っていると里夫が訝しげに

問い返してくる。


「そうか？」

「そんなわけあるか！」


　太一が肯定する前に善郎が否定してきた。

その反応がまた満に似ている気がして里夫に目配せすると、

里夫も納得顔で頷いた。




※　※　※




『お邪魔しました』


　太一は玄関を出て善郎と同時に頭を下げた。


「また今度ゆっくりといらしてくれだべ」

「はい。ぜひ！」


　車に乗り込み善郎が邦夫と挨拶を交わしているのを聞いていると、

満が隠れるように奥の方で立っていた。

わざわざ見送りに来てくれたのだろうか。

太一は嬉しくなって発車する車の中から手を振る。


「バイバーイ」


　手を振る里夫と邦夫の後ろから満が手をあげる姿が見えた。