Gold Plum

第六章


対峙


〜善郎＆太一の場合〜


四


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「わかった。

家に着いたら謝らんとなあ。思ったより遅くなっちまった」


　薄い頭を撫でて見せると、太一がぼやく。


「ママ怒ってるかもなー。

この前、お兄ちゃんが送ってくれたときすごく怒られたんだよ」

「そ、そうなのか……」


　それは相当な覚悟が必要かもしれない。


（捜索願とか出されてないよな？）


　送るつもりが自分の都合で彼を連れ回すような状況に

なってしまった。

これでは大人失格だ、と密かに冷や汗を掻いているのをよそに、

太一の言葉は続く。


「うん。でもそのあとでお兄ちゃんが

ママとばぁちゃんを説得してくれたんだー♪　あ、おじちゃんそこの信号機だよ」


　鼻歌でも歌い出しそうな雰囲気の少年の言葉に、

善郎は慌ててハンドルを切る。


「おう、ありがとうよ！　そうか。

それであの方々と一緒にいることを許してくれてるんだな」


　太一の祖母も随分悩んだことだろう。

まだ納得できてもいないだろうに、

それでも孫の気持ちを尊重しようとするとは。

一体どんな人物なのだろう。

会ってみたいものだ、と頭の中で考えていると、

太一がきょとんと問うてくる。


「え？　あの方々って？」


　不思議そうに首を傾けてくる少年へ、善郎は応じた。