Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





IIIG




 突如、車の速度があがった。

みのりは重力に逆らえず、後頭部を背もたれへしたたかに打つ。


「わっ、急にどうしたの?」


 面を食らいながら助手席にいる碧へ問い詰める。


「どうかしましたか?」


 涼介の声と重なった。

だが、返答してきたのは前に座る側近ではなく、隣に座っている

紅からだった。


「後ろ、車いる」


 みのりは紅の言葉に、振り返ろうとシートベルトへ手をかける。

しかし、後方を見る前にパンパンという銃声のような音が

聞こえてきた。


「きゃあ! 何、今の」


 頭を庇うように身を竦めると、碧が冷静に答えてきた。


「威嚇射撃のようですね」

「たぬき! あれ、この間の獣人ですよ!」


 後ろを向いて指を差す涼介に、みのりは瞠目する。


「たぬきの獣人ってことは、

獣人の長の手下だから市長側ってことよね?」


 野臥間の家で獣人の長と市長が話していたことが脳裏によみがえる。

銃の発砲については獣人側の独断のようだったが、

今回もそうなのだろうか。だが涼介からの返事はなく、

彼は眉間に皺を寄せ、拳を握りしめていた。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む