Gold Plum

第六章


対峙


〜善郎＆太一の場合〜


四


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「こんなに遅くなるなんて約束が違うでしょう」

「ごめんなさーい」


　扉をあけながら節子がたしなめてくる。太一は素直に謝った。

しかし言葉だけでは足りなかったらしい。

怒っていますよ、という表情で睨まれた。


「パパに言いますからね！　あら？　太一、こちらはどなた？」


　善郎の存在にようやく気づいたらしい。

節子はまばたきをしながら善郎を眺めた。

その視線に彼は腕を脇につけたまま頭を下げる。


「は、初めまして！　私山波と申します。

本日は太一君を遅くまでお借りしてしまい申し訳ございませんでした」

「おじちゃんは遅くなったからって送ってくれたんだよ」


　祖母と同じくらいの人にこんな行動をさせてはまずい。

子供ながらそう感じた太一は、節子へ善郎が良い人なんだと訴えた。

しかし祖母は話を聴いていないのか、首をかしげ眉間に皺を寄せる。


「太一、あなた今日遊びに行っていたんじゃないの？」


　節子の疑問ももっともだ。

友達と遊ぶと言って家を出た人間が別の人を連れてきたのだから。

太一は善郎と出会ったいきさつを節子へ語り始めた。