Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





B




(どうしよう涼介の顔が見られないわ)


 彼と目が合おうものなら確実に顔が赤くなる。それだけなら

まだしも、きっと挙動もおかしくなるに違いない。

そうなれば敏い側近たちのことだ。昨夜何があったか、すぐに

察してしまうだろう。


(今は黄金梅を実らすことだけに集中しないと)


 涼介だって告白の返事はすべてが終わってからでいいと言って

くれた。彼の気遣いに報いるべく、みのりは小さく深呼吸を繰り

返す。


「高松」

「ああ」


 市長の呼び声に高松が返事をした。目配せを交わし、

話は終わったと言わんばかりに2人は用意されていた車に乗り込む。

2人の姿が車に消えるや否や、今まで一言もしゃべらなかった

碧が口を開く。


「雅仲君、僕たちの車はどこにあるのですか?」

「え? あの車に乗るんじゃないの?」


 みのりは市長と高松の乗った車を見た。自分たちが乗車すると

思っているのだろう。ドアは未だに開きっぱなしになっている。


「お嬢様、恐れ多くも市長と都の人間が乗っている車ですよ。

同乗するなんてとんでもない。僕らは別の車に乗らないと」


 碧が首を緩やかに振りたしなめてくる。言い方は丁寧だが、

みのりには嫌味にしか聞こえなかった。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む