Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
五
D
「ありがとうございます。ではお借りしますね」
にっこりと微笑む碧の目は笑っていなかった。
(うわー、怒ってるなあ……)
どうフォローを入れるべきか迷っていると、雅仲が先に碧へ一礼する。
「はい。兄と弟のこと、どうぞよろしくお願いします」
いつになく真剣な声音に驚く。
(なんだかんだ言って雅仲兄も色々考えてくれてるんだ)
妙な感慨に耽けった次の瞬間、空気がぴりりと凍りついた。
「申し訳ないが、君の兄君のことは僕の管轄外だからなにもしません。
むしろ排除の対象になった際は容赦しないつもりなので
先に謝罪しておきますね」
きっぱりと言い切られ、雅仲が苦笑する。
「相変わらずですねえ。梅田先輩……」
おどけたように笑う次兄が内心本気で困りきっているのを感じ取り、
涼介は胸が痛くなった。
(碧さんの言いたいことはわかる。でも、雅仲兄があれだけ
言うってってことは……)
おそらく、あの長兄が揺れているということなのかもしれない。
だとしたら、自分はどうしたらいいのだろう。
頬を掻くその横で、碧が片頬をあげた。
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