Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
五
F
涼介は車内からちらりと背後を窺う。
「当たり前といえば当たり前だけど。ついてきてるなあ……」
誰にともなくぼやくと、みのりが肩を竦めた。
「でも撒いたとしても集合場所を知っているはずだから
意味ないわよね」
みのりの問いに涼介は首をかしげる。
「言ってたっけ? 雅仲兄さんが言ってればわかるだろうけどさ」
「何言ってるのよ。
昨日言ってたじゃない盗聴器の1つや2つ当たり前だって」
雅仲の言葉を思いだし、手を打つ。
確かにそんなことを言っていたような気がする。だが……。
「まあ、そうだけど。雅仲兄さんも冗談だって言ってたしさ」
「いいえ、あれは本気の目だったわ」
「そうかなあ……」
雅仲は長兄の手前口には出せないが、
どちらかというとみのり側の人間に近い気がしたのだが。
「雅仲君もなかなかどうしてタヌキのようですからねー」
碧がみのりの言葉を肯定する。
そうだろうか。
腕を組み考え込んでいると、みのりがほら、と目を輝かせてきた。
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