Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





IB




「皆さん、みのり様たちが到着したようですよ」


 さすが獣人というべきか。離れた位置にいるにも関わらず、

紅の声が聞こえたらしい。

みのりたち一行が彼らの元へ近づき始めると、飛田がこちらの

登場を示唆してくれた。


「あ、本当だ! お兄ちゃーん」


 それぞれの視線が一斉に向かってくる中、太一が手を振りながら

走ってきた。涼介も小走りで向かう。


「太一君! 待たせちゃったかな?」

「こら、太一君! 急に走ったら危ないでしょう」

「ごめんなさーい」


 太一は野木崎に一喝され素直に謝った。だが懲りていないのか、

満面の笑みのまま涼介の問いに返答する。


「ううん。ぼくたちも今きたところだったんだよ。ね、おばちゃん」


 怒られたことなどなかったように太一が野木崎を見た。

その奔放さに野木崎も肩を竦めるしかないようだ。


「律子さん、そんなに叱らなくても。嬉しかったんですよ。

何事も経験ですよ!」


 ね、太一君。と、あとをついてきた小越が両手で拳を作り、

野木崎と太一へ笑顔を向ける。満面の笑みで頷く太一とは裏腹に

野木崎がため息をついた。そこへ山波が、野木崎を慰めるように

肩を軽く叩く。


「相変わらずとんでるなあ、嬢ちゃん先生は」

「本当に……

まあそこが麻里さんらしいとも言えなくもないですけど」

「なるほど……」


 山波が、苦笑する野木崎の言い分に納得した様子で頷いていた。










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