Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
五
IB
「皆さん、みのり様たちが到着したようですよ」
さすが獣人というべきか。離れた位置にいるにも関わらず、
紅の声が聞こえたらしい。
みのりたち一行が彼らの元へ近づき始めると、飛田がこちらの
登場を示唆してくれた。
「あ、本当だ! お兄ちゃーん」
それぞれの視線が一斉に向かってくる中、太一が手を振りながら
走ってきた。涼介も小走りで向かう。
「太一君! 待たせちゃったかな?」
「こら、太一君! 急に走ったら危ないでしょう」
「ごめんなさーい」
太一は野木崎に一喝され素直に謝った。だが懲りていないのか、
満面の笑みのまま涼介の問いに返答する。
「ううん。ぼくたちも今きたところだったんだよ。ね、おばちゃん」
怒られたことなどなかったように太一が野木崎を見た。
その奔放さに野木崎も肩を竦めるしかないようだ。
「律子さん、そんなに叱らなくても。嬉しかったんですよ。
何事も経験ですよ!」
ね、太一君。と、あとをついてきた小越が両手で拳を作り、
野木崎と太一へ笑顔を向ける。満面の笑みで頷く太一とは裏腹に
野木崎がため息をついた。そこへ山波が、野木崎を慰めるように
肩を軽く叩く。
「相変わらずとんでるなあ、嬢ちゃん先生は」
「本当に……
まあそこが麻里さんらしいとも言えなくもないですけど」
「なるほど……」
山波が、苦笑する野木崎の言い分に納得した様子で頷いていた。
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