Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





IC




「太一君は野木崎さんと一緒にきたの?」


 みのりの問いに、太一が元気よく首肯した。


「うん。おばちゃんと待ってたらおじちゃんたちが迎えにきてくれたの」

「たち?」


 紅が問いかけると、太一が無邪気に肯定した。


「うん。ぼくたちみんなおじちゃんたちの車で来たんだよ」


 どこか自慢げな様子で語る太一の言葉へ被せるようにして、

芽衣子が話を継いだ。


「私たちもついてきちゃったんです。父だけだと心配なので」


 芽衣子の言葉で山波のことを思いだす。

みのりの事ばかり気になってしまっていたが、これからが本番なのだ。

涼介は襟元を正す心持ちで山波へ視線を向けた。


「山波さん、来てくれて本当によかったです」


 微笑みかけると、善郎が大仰に頭をさげてくる。


「みなさん、いや、皆様! 申し訳ございませんでした!」


 頭をさげるだけでは気が済まなかったのだろうか。

地面へひれ伏そうとする山波に目を剥いていると、

寸でのところで芽衣子がとめた。


「お父さん!」


 無理矢理姿勢を立て直させ愛想笑いを浮かべる芽衣子の向かい側で、

みのりが首を左右に振った。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む