Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
五
ID
「とんでもない。今日は来ていただきありがとうございます。
山波さんも本当にありがとうございます」
頭を垂れるみのりを前に、山波が呻く。
「みのり様……」
「何度言っても足りないくらいなんです、山波さん。
私はとてもあなたに感謝しているんです。ですから、もう謝るのはやめてください」
頭をあげたみのりの微笑みに、山波が表情を改めた。
「はい」
深く頷く山波に、飛田が声をかける。
「よかったですね。お父さん」
「ああ」
快活に笑い合う2人に驚いていると、紅が首をかしげた。
「仲良し?」
飛田と山波へ交互に視線を送る紅の向かいで、
芽衣子が微かに声を震わせた。
「お父さん……」
よく見ると、瞳が少し潤んで見える。
(よっぽど嬉しかったんだな……)
仄かに感動していると、山波が慌てたように手を左右に振った。
「た、たまたまだ! たまたま!」
「えーでも昨日おじちゃん、鹿のお兄ちゃんのこと褒めてたんだよ」
太一が不服げに頬を膨らませる。瞬間、山波の顔面が朱に染まった。
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