Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
五
IF
「いやあ、実に楽しそうですな。皆さん」
「俺たちも混ぜて欲しいなあ」
和やかな空気を壊すかのように、市長が高松を引き連れ
割り込んできた。愛想笑い浮かべ空々しいことを言う高松に、
紅が顔をしかめる。
「お邪魔虫」
まったくその通りだ。みのりも紅同様、招かざる客を、眉間に
皺を寄せて迎えた。
「高松室長! それに、市長も?」
小越は上司と部下という間柄だというのに、高松たちが
来ることを知らなかったらしい。彼らの登場に、彼女の元から
大きな瞳がさらに大きくなった。
(高松さんって先生をあてにしていないのかしら?)
みのりが内心で首をかしげていると、碧が壁になるように
前へ出る。
「君たちが来るまでは楽しいひと時でしたよ」
「そう言わずに混ぜてくれよ、碧。ところで梅田のみさんは
どちらの方かな。紹介してくれないか」
やはり市長には碧の毒は効かないようだ。みのりは、平然と
受け流しながらも、さらに要求を繰り出す市長に感心した。
「なぜ僕が紹介しないといけないのですか、お断りですよ」
碧も手応えのない相手に対応を変えることにしたらしい。
底冷えするかのような冷たい笑みを市長へ向けていた。
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