Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
五
BID
「やはり見えぬマロか」
顎で手をあてる仕草が愛らしい。まるで小さなみのりのようだ。
などと頭の隅で考えていると、野木崎が横にいる麻里を促した。
「教えてあげなさいよ麻里さん。一応上司でしょう」
言われた麻里は目をしばたたき、困惑げに野木崎を見遣る。
そのまま頷く野木崎に押される形で、小首をかしげながら
高松の横へ立った。
「は、はあ。じゃ、じゃあ……。あの、高松室長。
ちゃんと籠の中を見ないと雪姫様には室長が見えませんよ」
ためらいがちに告げられた言葉に、高松が珍しく素直に頷く。
「そうなのか。わかった」
麻里に応え、高松が籠の真ん中を覗き込む。
なんだか珍しいもの見たような気分だ。
(野木崎さんが小越さんに人心掌握術かなんかを教えたのかな?)
気になって野木崎の様子を窺うと、
野木崎も予想外だったのか頬に手をあて驚いた様子を見せていた。
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