Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
五
BIF
「雪姫様は今、このおじさんが近づきすぎたからぼくの肩にいるよ」
頬をポリポリと引っ掻きながら太一が言った言葉に、飛田が
優しく微笑む。
「そうなのか。ありがとう、太一君」
(太一君にとって高松さんっておじさんの部類に入るのね……)
愉しげに飛田と話す太一を見て、みのりはふむと考える。
たしか碧と市長と高松は同級生のはずだ。年齢から言えば、太一に
とっては『お兄さん』というよりは『おじさん』なのかもしれない。
そんな場違いなことに耽っていると、野木崎の囁き声が聞こえてくる。
「ねえ、雪姫様の声もこの人たちには聞こえないのよね?」
「うむ。そうみたいだな」
「だったらもし雪姫様が了承したって、わからないですよね?」
元々小越へあてたつもりの問いかけだったのだろう。だが反応
したのは山波の方だったようで。野木崎の言葉遣いが、低い声の
相槌に幾分丁寧なものへ変わった。
「そう言われてみればそうだな」
「このまま了承が得られないから置いて行く。
なんてこと、できないかしら……」
みのりは、山波たちの会話を聞きながら誰に話すでもなく呟いた。
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