Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





BIF




「雪姫様は今、このおじさんが近づきすぎたからぼくの肩にいるよ」


 頬をポリポリと引っ掻きながら太一が言った言葉に、飛田が

優しく微笑む。


「そうなのか。ありがとう、太一君」

(太一君にとって高松さんっておじさんの部類に入るのね……)


 愉しげに飛田と話す太一を見て、みのりはふむと考える。

たしか碧と市長と高松は同級生のはずだ。年齢から言えば、太一に

とっては『お兄さん』というよりは『おじさん』なのかもしれない。

そんな場違いなことに耽っていると、野木崎の囁き声が聞こえてくる。


「ねえ、雪姫様の声もこの人たちには聞こえないのよね?」

「うむ。そうみたいだな」

「だったらもし雪姫様が了承したって、わからないですよね?」


 元々小越へあてたつもりの問いかけだったのだろう。だが反応

したのは山波の方だったようで。野木崎の言葉遣いが、低い声の

相槌に幾分丁寧なものへ変わった。


「そう言われてみればそうだな」

「このまま了承が得られないから置いて行く。

なんてこと、できないかしら……」


 みのりは、山波たちの会話を聞きながら誰に話すでもなく呟いた。










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