Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





BIH




「なあ、いつ出発するマロ?」


 おもむろに聞こえてきた雪姫の声に、みのりはうな垂れていた

顔をあげた。この状況に飽きてきたのだろう。雪姫が太一の

耳たぶに掴まりながら、ゆらゆらと身体を揺らしている。


「すみません。もう少し辛抱していてください」


 涼介が襟足をなでながら眉毛を下げた。そして太一の耳たぶ

から雪姫の手を放させる。


(良かった。雪姫が落ちないで)


 みのりはホッと胸をなで下ろした。それは耳たぶを掴まれていた

太一も同じだったみたいだ。肩の力を抜き、太一が雪姫へ顔を向ける。


「雪姫様が行こうって言えば出発できるみたいだよ」


 太一は、雪姫を落とさないように手のひらに乗せた。

雪姫はきょとんとした顔で涼介を見あげる。


「そうなのかマロ?」

「……まあ、確かに……」


 涼介が、目線を逸らせながら太一の言葉を認めた。太一の瞳が

輝く。


「ね! ぼくの言った通りでしょう雪姫様」

「ふむふむ。主は賢き童マロ」


 雪姫が嬉しそうに、太一の手のひらで笑う。

みのりは、勝手に話を進めていく彼らに瞠目した。










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