Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
五
BIH
「なあ、いつ出発するマロ?」
おもむろに聞こえてきた雪姫の声に、みのりはうな垂れていた
顔をあげた。この状況に飽きてきたのだろう。雪姫が太一の
耳たぶに掴まりながら、ゆらゆらと身体を揺らしている。
「すみません。もう少し辛抱していてください」
涼介が襟足をなでながら眉毛を下げた。そして太一の耳たぶ
から雪姫の手を放させる。
(良かった。雪姫が落ちないで)
みのりはホッと胸をなで下ろした。それは耳たぶを掴まれていた
太一も同じだったみたいだ。肩の力を抜き、太一が雪姫へ顔を向ける。
「雪姫様が行こうって言えば出発できるみたいだよ」
太一は、雪姫を落とさないように手のひらに乗せた。
雪姫はきょとんとした顔で涼介を見あげる。
「そうなのかマロ?」
「……まあ、確かに……」
涼介が、目線を逸らせながら太一の言葉を認めた。太一の瞳が
輝く。
「ね! ぼくの言った通りでしょう雪姫様」
「ふむふむ。主は賢き童マロ」
雪姫が嬉しそうに、太一の手のひらで笑う。
みのりは、勝手に話を進めていく彼らに瞠目した。
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