Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
一
IIIIB
「お嬢さま」
気遣わしげな声音とともに紅がみのりの手を握る。
そのまま庇うように腕で彼女の頭を覆う姿を見て、
涼介は胸がざわつくのを自覚した。
(たくっ! そんな場合じゃないってのに)
まさか紅にまで嫉妬してしまうようになるとは。
なまじ可能性が出てきたせいで、
想いのブレーキが外れてしまったのだろうか。
みのりのことを少し想像するだけで所構わず高鳴ってしまう。
自らの意識に戸惑っていると、運転席から舌打ちが聞こえてきた。
「しつこいですね」
ハンドルを忙しなく左右へ切りながら文句を言う碧の横で、
飛田が叫んだ。
「なんで僕がこんな目にぃぃぃ……!?」
「すみません、飛田さん。巻き込んでしまって……」
涼介は頭を下げる。それもこれも家族が原因かもしれない。
そう考えるだけで、情けない気分になった。
(なんとかしてやめさせないと)
決意を改めたと同時に、やっとのことで広い道路へと出た。
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