Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
五
CIA
昨日まではあれほど渋い顔をしていたのに、
一切の迷いもない表情をしている。
(本当に人って変われるんだな)
そう彼に言ったのは自分なのだが、
ここまで吹っ切れた人間を見たことはなかった。
だが、少しでも前向きになってくれたのなら、それはそれで嬉しい。
太一に続いて歩き始めながら微笑していると、後方で飛田の声がした。
「僕らも行くかい?」
「ええ、もちろん!」
芽衣子が飛田に応える。_
快活な声音は父親の山波とどこか似ている。
「お嬢様、我々も行きましょう」
碧の言葉が気になって後ろを見遣ると、
紅が雅秋と高松を威嚇しているところだった。
「シッシ」
ほぼ無表情で二人へ向かって手を払う。
それから、みのりの手を引き歩きだした。
涼介はなんとなくみのりの側へ行きたくて歩を緩める。
斜め前の位置まで下がると、みのりが声をかけてきた。
「みんな自由すぎるんじゃない?」
上目遣いで尋ねてくるみのりに胸が高鳴る。
「うん。でもまあ、らしくていいんじゃないかな?」
頬が緩みそうになるのを必死で押し留め応えていると、
高松が雅秋へ声をかけた。
「許可がおりたようだよ、雅秋」
「そう……なのか?」
釈然としていないらしい雅秋を高松が促す。
「行こう」
「ああ」
今までより以上に強引な高松の様子に、涼介はなんとなく
嫌な予感がした。
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