Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





CIA




 昨日まではあれほど渋い顔をしていたのに、

一切の迷いもない表情をしている。


(本当に人って変われるんだな)


 そう彼に言ったのは自分なのだが、

ここまで吹っ切れた人間を見たことはなかった。

だが、少しでも前向きになってくれたのなら、それはそれで嬉しい。

太一に続いて歩き始めながら微笑していると、後方で飛田の声がした。


「僕らも行くかい?」

「ええ、もちろん!」


 芽衣子が飛田に応える。_

快活な声音は父親の山波とどこか似ている。


「お嬢様、我々も行きましょう」


 碧の言葉が気になって後ろを見遣ると、

紅が雅秋と高松を威嚇しているところだった。


「シッシ」


 ほぼ無表情で二人へ向かって手を払う。

それから、みのりの手を引き歩きだした。

涼介はなんとなくみのりの側へ行きたくて歩を緩める。

斜め前の位置まで下がると、みのりが声をかけてきた。


「みんな自由すぎるんじゃない?」


 上目遣いで尋ねてくるみのりに胸が高鳴る。


「うん。でもまあ、らしくていいんじゃないかな?」


 頬が緩みそうになるのを必死で押し留め応えていると、

高松が雅秋へ声をかけた。


「許可がおりたようだよ、雅秋」

「そう……なのか?」


 釈然としていないらしい雅秋を高松が促す。


「行こう」

「ああ」


 今までより以上に強引な高松の様子に、涼介はなんとなく

嫌な予感がした。










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