Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
五
CIB
「やっと着いたー」
梅の群生地へ到着するや、野木崎が手をあげ歓声をあげた。
その背後から山波が感慨深げに周囲を見回している。
「一昨日ぶりだなぁ」
(ここに戻ることができて良かった)
みのりは胸をなで下ろした。これで願いを唱えることができる。
みんなの力がなければここまでくることはできなかっただろう。
みのりは黄金梅によって集まった仲間たち一人一人の顔へ視線をやる。
野木崎が目を細め、山波を見ていた。
「山波さんがこの間、ちゃんとしてくれれば山登りなんて
しなくても済んだんですけどねー」
「すまん。だがもう大丈夫だ」
山波が心底申しわけなさそうに頭を下げる。
だが、すぐにあがった顔はとても晴れやかなものだった。
みのりは野木崎と山波の間に割り込む形で進み出る。
「いえ、私はこのタイミングで良かったと思います。
あの失敗があったからこそ、皆さんの気持ちがわかりましたし……。
山波さん、ありがとうございました」
彼が一度反意してくれたからこそ、色々考えることができた。
あのことがなければ、涼介だって市長である雅秋と対峙できて
いなかったかもしれない。
(それに告白だって……)
みのりは昨夜のことを思い出し、顔を火照らせた。
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