Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
五
CIE
「さあ、俺にはさっぱりだけど……」
涼介が困惑気味に太一と山波を眺める。今回のことは彼に
伝わっていなかったらしい。珍しいこともあるものだ。
みのりは、少しだけ寂しそうにも見える涼介を慰めようと手を
伸ばす。しかし、彼の袖に触れる前に、野木崎が我が物顔で
割って入ってきた。
「それはきっと……」
「そ、そんなこと今はいいじゃないですか!」
小越が、野木崎の声を被せるように遮ってきた。
慌てた様子の教師にみのりは首をひねる。
野木崎に向き合っていた小越の体がこちらを向いた。
「本題に入りましょう! 本題に!」
「え、あ、そうですね」
小越の言い分はもっともだ。みのりは頷き、先ほどから
ずっと静観していた梅田のみへ顔を向ける。
「梅田のみさんお願いします」
「はい。では、みなさん、こちらをお受取りください」
自分たちが会話している間に、社から取り出しておいて
くれたのだろう。梅田のみの手には、6つに重なった朱色の盃と
調子があった。
みのりは一番上にある盃を手に取る。そのあとをそれぞれが続いた。
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