Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
五
CIF
「ありがとうござます」
涼介は盃を配ってくれるのみに礼を言う。
すると、後方で高松の声がした。
「あれは何をしてるんだろう?」
「さあな」
高松の問いに、雅秋が気のない返事をする。
若干呆れ声な気もするが、本当のところどうなのかはわからない。
一瞬振り返って確かめてみたい欲求に駆られたが、
ここが勝負のしどころだ、と堪えた。
そんな内心をよそに、芽衣子が兄たちへ説明する。
「これから6人でお願い事をするんですよ」
「緊張するね」
芽衣子の言葉を受ける飛田の優しげな声音に、涼介は小さく吐息した。
ほんの少しだが、未来のことを想像してしまった。
自分はみのりとこんなふうな会話ができるようになるのだろうか。
(難しい気がする……)
頬を掻いていると、碧のつっけんどんな声がした。
「外野の方々はお静かにしていただけませんかね?
特に、勝手についきた方々のことですが」
険の立った声に飛田と芽衣子がすぐさま反応する。
『すみません』
異口同音で詫びる2人と対照的だったのは高松だった。
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