Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
五
CIH
「ああ」
心から同意すると、
反対隣に立っている太一が山波へ声をかけるのが聞こえてくる。
「お兄ちゃんとみのり様、いい雰囲気だね、おじちゃん」
太一の言葉に反論する暇もなく、山波が悟りきったような口調で答える。
「そりゃできたてホヤホヤだからな」
「あれで返事待ちなんて嘘よね」
山波の言葉を継いだのは野木崎で、彼女の言葉に反応したのは小越だった。
「ですよね!」
力強く言い切る小越に、野木崎がからかいの含んだ声音で促す。
「麻里さん、あやからせてもらいなさいよ」
案の定、小越がえ、と素っ頓狂な声をあげる。
「なななななな、なんで私が……?!」
取り乱す小越に子供と大人2人がくすくすと笑い合った。
和やかな空気が流れ始める。
そんな空気を遮ったのは、のみだった。
「皆様、雪姫様が舞わられるのでご静粛に!」
「はい! すみません!」
小越が姿勢を正して謝るのと同時に、雪姫の手がさりげなく動き始めた。
雪姫が舞う度に、手先から空気の流れがわかる。
それほど波のようにも感じられる優美な舞を目の当たりにして、
涼介は一度ならず二度までも感嘆の溜め息を漏らした。
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