Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





CIH




「ああ」


 心から同意すると、

反対隣に立っている太一が山波へ声をかけるのが聞こえてくる。


「お兄ちゃんとみのり様、いい雰囲気だね、おじちゃん」


 太一の言葉に反論する暇もなく、山波が悟りきったような口調で答える。


「そりゃできたてホヤホヤだからな」

「あれで返事待ちなんて嘘よね」


 山波の言葉を継いだのは野木崎で、彼女の言葉に反応したのは小越だった。


「ですよね!」


 力強く言い切る小越に、野木崎がからかいの含んだ声音で促す。


「麻里さん、あやからせてもらいなさいよ」


 案の定、小越がえ、と素っ頓狂な声をあげる。


「なななななな、なんで私が……?!」


 取り乱す小越に子供と大人2人がくすくすと笑い合った。

和やかな空気が流れ始める。

そんな空気を遮ったのは、のみだった。


「皆様、雪姫様が舞わられるのでご静粛に!」

「はい! すみません!」


 小越が姿勢を正して謝るのと同時に、雪姫の手がさりげなく動き始めた。

雪姫が舞う度に、手先から空気の流れがわかる。

それほど波のようにも感じられる優美な舞を目の当たりにして、

涼介は一度ならず二度までも感嘆の溜め息を漏らした。










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