Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
五
DI
「やっぱり雪姫の舞は何度見ても綺麗よね」
みのりは誰にともなく呟いた。
雪姫の舞は、型どおりに踊る自分とは何もかも違っている。
1つ1つの動きは同じはずなのだが、纏うオーラのようなものに
雲泥の差があった。幻想的ですらある彼女の舞に感嘆のため息を
つくと、おもむろに涼介が口を開く。
「ああ。本当だ。君と似てるよ」
「私に? 私はあんな綺麗に舞えないわ」
涼介が当たり前のように告げてくる。
みのりは彼の言葉を即座に訂正した。しかし、彼はそれすら否定
してくる。
「舞ってなくてもきれいだよ。
そこにいるだけで十分過ぎるくらい花があるんだからさ」
(な、なにを言うのよ、こんなところで……)
なんのてらいもなく言ってくる褒め言葉に、みのり顔を赤くさせた。
恥ずかしさに顔を俯かせる。
視界の端に、後ろで控えている紅のつま先が微かに動くのが見えた。
(私ったら、紅とちゃんと話してないのに浮かれたらダメじゃない)
自分たちを見て紅がどんな思いをしているか。
考えるだけで胸が痛くなる。
(すべて終わったら紅に私の気持ちを告白するって決めたんだもの)
だからもう少し待っていて。みのりは心の中で紅へ懇願した。
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