Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





DI




「やっぱり雪姫の舞は何度見ても綺麗よね」


 みのりは誰にともなく呟いた。

雪姫の舞は、型どおりに踊る自分とは何もかも違っている。

1つ1つの動きは同じはずなのだが、纏うオーラのようなものに

雲泥の差があった。幻想的ですらある彼女の舞に感嘆のため息を

つくと、おもむろに涼介が口を開く。


「ああ。本当だ。君と似てるよ」

「私に? 私はあんな綺麗に舞えないわ」


 涼介が当たり前のように告げてくる。

みのりは彼の言葉を即座に訂正した。しかし、彼はそれすら否定

してくる。


「舞ってなくてもきれいだよ。

そこにいるだけで十分過ぎるくらい花があるんだからさ」

(な、なにを言うのよ、こんなところで……)


 なんのてらいもなく言ってくる褒め言葉に、みのり顔を赤くさせた。

恥ずかしさに顔を俯かせる。

視界の端に、後ろで控えている紅のつま先が微かに動くのが見えた。


(私ったら、紅とちゃんと話してないのに浮かれたらダメじゃない)


 自分たちを見て紅がどんな思いをしているか。

考えるだけで胸が痛くなる。


(すべて終わったら紅に私の気持ちを告白するって決めたんだもの)


 だからもう少し待っていて。みのりは心の中で紅へ懇願した。










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