Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





DID




「もちろんです!」


 麻里が意味もなく胸を叩く。

一瞬、盃から梅の果汁がこぼれないかどうか心配なったが、

杞憂に終わった。


「うん! ちゃんと前と一緒の願いを唱えるよ」


 隣にいた太一が元気よく答える。


少年にとっては祖母の願いが叶うかもしれない正念場だ。


(花がちゃんと咲いてくれるといいな)


 黄金梅がなくなってしまうのか、それとも残るのか。

自分にとっても他人事ではない。

だが、どんなことになっても自分はみのりの側にいよう。

気持ちを新たにしていると、太一のさらに横で山波が背筋を伸ばす。


「はい!」

「もちろんです」


 次いで答えたのは野木崎で、彼女の表情にも一切の迷いは見られなかった。

みのりが全員を見回す。それからゆっくりと口火を切った。


「では……」


 言葉と同時に盃を口元へ運びかけた時だ。


「待ちなさい!」


 女性の一際厳しい声音が耳をつんざく。


「え……?!」


 聞き覚えのある声に反応して、涼介は声のした方角へ目を向けた。










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