Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
六
F
「みんなの幸せの中に、黄金梅が必要ならばそのまま存在する
だろうし、不必要ならなくなると思ったんです」
「そんなこと……」
「私の提案に涼介たちも賛同してくれました」
呆れを多分に含んだ声音で反論しようとする美都子の言葉を、
みのりは被せ気味に遮った。
「もちろんです」
涼介が後押しするように相槌を打つ。
そして少しためらいを見せたあとすぐに自分の考えを語り出した。
「美都子様、俺は……、俺は正直始めは諦めていました。
獣人と人間は生涯わかり合うことができないのだと」
初めて聞く涼介の気持ちにみのりは内心で驚いた。
瞠目し、彼へ目を向ける。視線を感じたのだろう。
美都子へ向けていた涼介の顔がこちらを向く。
一瞬だけ交じった目線に心が温かくなる。
みのりが小さく頷くと涼介は美都子へ顔を戻し、再び口を開く。
「でもみのりさんやみのりさんの大切な人たちと触れることで、
俺の考えは古くて狭いものだと悟ることができたんです。
俺はみのりさんの強い思いに自分の残りの人生をかけると
決意しました。もう迷いはありません」
「古くて狭い考え? 何をバカなことを」
力強く涼介が言い切ると、美都子は見下すように鼻を鳴らした。
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