Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





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 だが、みのりの願いなど

美都子にとっては取るに足りないものだったのだろう。

みのりの発言に長々と吐息し、みのりを見据える。


「みのりさん、あなたは何もわかっていないようですね。

獣人たちが、人間とは違う種族の彼らがどれほど危険な存在なのか」


 淡々と告げる美都子に反論したのはみのりではなかった。


「獣人は危なくなんてありません!」


 小越が叫ぶ。

小刻みに震えているように見えるのは、怒りのためだろうか。


「美都子様。私もつい昨日まではあなた様と同じ気持ちでおりました。

しかし、今は違う。獣人と人間は解り合うことができるはずです」


 山波が麻里をちらりと一瞥した後、美都子へ進言した。


(山波さん!)


 まさか彼がここまで現当主に対して意見するとは思わなかった。


(みのりさんの思いが通じたんだな)


 嬉しさがじわじわと込みあげてくる。

彼女の努力の成果かここにきて具現化してきたのだ。


(もう1人じゃない)


 1人だけで闘う必要はない。


(だから負けるな)


 内心で念じていると、美都子が鼻を鳴らすのが聞こえてきた。










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