Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





I




「口ではなんとでも言えます。戦時中、先々代が都から自治権を奪い返す前、

ちは数多の人間たちに牙を向けてきました。

あなたたちはそれが命令だったからとおっしゃるかもしれません。

ですが、本当にそうでしょうか。

攻撃的な一面を持つ彼らの本能がなかったと、どうして言い切れるのですか?」


 蔑み切った美都子の言葉に嫌悪が走った。

涼介は眉根を寄せ、口を開く。


「それは……それは少し言い過ぎなのではないでしょうか?」


 事実ではあるが、真実ではない。

だいたい獣人と人間との諍いは両者ともに責任のあることだ。

片方だけが非難される謂われはない。


「そうよ。そんな昔のこと。

それにそのときは人間だって同じように人の命を奪い合っていたじゃない。

むしろ人間の方が危険じゃない! と、私は思います」


 野木崎の言葉に小越も同意する。


「そうです。人間にだって怖い人はいます。

その反対に獣人にだっていい人はたくさんいます。

それなのに獣そのものだなんて! あんまりです!」


 拳を握り批判する小越を太一がさらに援護した。


「そうだよ。昔のことはよく知らないけど、獣人さんたちは

人間をたくさん助けてくれてるんでしょう」


 太一の言葉に一同が深く首を縦に振った。










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